ライブ配信でドローンを使用していることから、陸上での撮影とは全く異なる独特の難しさがあります。
特に専門的な知識と経験、そして適切な機材が求められる分野です。これから、海上でドローン空撮を行う際に直面する様々な課題について、詳しくお話しします。
環境要因がもたらす困難さ
はっきり言って風との闘いです…。
海上は陸上と比べて風が強く、また予測が難しいんです。陸地のような障害物がないため、風は遮られることなく吹き抜けます。そのため、撮影中に突然の強風や風向きの変化に見舞われることがよくあります。
ウチ機体は最大耐風が12/msecなんですが、海上ではあっという間に風速が10メートルを超えることもあるんですよ。そうなると、ドローンの制御が非常に難しくなります。特に小型のドローンでは、風に流されてしまうリスクが高まります。
プロのドローンパイロットでも、海上での強風下での撮影は大きな挑戦です。風に逆らって飛行する際の消費電力増加も考慮しなければなりません。
塩害の問題
ウィンドサーフィンの場合、大抵は10m程度の高度を保ってレース中はドローンを飛行させます。海上で飛行させる際に見落としがちなのが塩害の問題です。海風に含まれる塩分が機体の金属部分を腐食させたり、電子機器にダメージを与えたりするんです。
特に長期にわたって海上撮影を続けると、この塩害の影響は無視できなくなります。撮影後の丁寧なメンテナンスが必須ですが、それでも海水の飛沫や塩分を含んだ空気による劣化は避けられないことが多いです。
気象条件の急変
海上の気象条件は非常に変わりやすいという特徴があります。晴れていた空が突然曇りになったり、霧が発生したり、にわか雨が降ってきたりすることも珍しくありません。
天気予報で確認していても、局地的な気象変化は予測が難しいものです。ドローンが雨に濡れると故障の原因になりますし、濃い霧の中では視界が失われて操縦が困難になります。こうした急な気象変化に対応するため、常に気象レーダーなどをチェックしながら、
いつでも飛行を中止できる準備をしておく必要があるんです。
技術的な課題
これはいつも悩まされる通信の不安定さ…。
陸地から離れた海上では、ドローンとコントローラー間の通信が不安定になりがちです。電波が水面で反射したり、障害物がない分、電波干渉を受けやすかったりするんです。
特に遠距離撮影の場合、通信の途絶えが大きな問題になります。最悪の場合、通信が途切れてドローンが制御不能になることもあります。最新の機種では自動帰還機能が付いていることが多いですが、それでも通信の安定性は海上撮影の大きな課題です。
バッテリー寿命の限界
海上での飛行は、風の抵抗や潮流に対応するため、通常より多くの電力を消費します。そのため、陸上で30分飛行できるドローンが、海上では20分程度しか飛ばないこともあるんですよ。
特に長時間の撮影や、沖合いでの撮影を行う場合は、このバッテリー消費の問題を念頭に置いた計画が必要です。予備バッテリーの準備はもちろん、バッテリー残量に余裕を持った飛行計画が不可欠になります。
位置確認の難しさ
陸上では建物や木などの目印があって位置を把握しやすいのですが、海上では見た目が似たような波しか見えません。そのため、ドローンがどの位置にいるのか、どの方向を向いているのかを把握するのが難しいことがあります。
ドローンはGPSナビゲーションシステムを搭載していますが、それでも視覚的に位置を確認することは重要です。特に水平線しか見えないような沖合いでは、この位置確認の難しさが顕著になります。
安全面での懸念
緊急着陸の問題
陸上では何か問題が発生したら、すぐに安全な場所に着陸させることができますが、海上ではそれが難しいんです。バッテリー切れや機体の不調が発生した場合、そのまま海に落ちてしまう可能性が高いです。
水に落ちたドローンの回収は非常に困難ですし、多くの場合、水没により機体は使用不能になってしまいます。そのため、海上での飛行は常にリスクを伴うものだと認識する必要があります。
船舶との衝突リスク
海上には、漁船やプレジャーボート、大型船舶など、様々な船が行き交っています。これらの動きを常に注視して、衝突を避ける必要があります。特に船の上部構造物とドローンが接触する危険性は見落とされがちです。
また、船舶の無線やレーダーやその他の電子機器がドローンの通信に干渉する可能性もあります。海上交通の多い場所でのドローン飛行は、このような追加的なリスクも考慮する必要があります。
法的規制の複雑さ
海上でのドローン飛行には、陸上とは異なる法的規制が適用されることが多いんです。沿岸警備隊や海上保安庁の規制、航行ルール、プライバシー法など、様々な法律や規則が関係してきます。
特に港湾施設や軍事施設、海上国境付近では厳しい飛行制限がある場合が多いです。また、国際水域での飛行になると、さらに複雑な法的問題が発生する可能性があります。これらの規制を理解し、必要な許可を取得することは、海上でのドローン操縦者の責任です。
実用的なアドバイス
海上でのドローン空撮を成功させるためには、いくつかの実践的なアプローチが有効です。まず、防水・防塵性能の高い機種を選ぶことが重要です。近年は防滴性能を持つドローンも増えていますが、完全防水のものはまだ少ないので注意が必要です。
また、操縦技術の向上も欠かせません。急な風の変化に対応できるよう、陸上で十分に練習してから海上撮影に挑むべきです。そして、常に気象条件を注視し、少しでも危険を感じたら即座に中止する判断力も重要です。
まとめ
海上でのドローン空撮は、その美しい景観や特殊な撮影アングルを得られる魅力がある一方で、様々な困難や課題が伴います。風や塩害などの環境要因、通信やバッテリーの技術的問題、安全面での懸念、そして複雑な法的規制など、多くの要素に注意を払う必要があります。これらの課題を理解し、適切な準備と対策を行うことで、海上でのドローン空撮の成功率は大きく向上します。経験を積み、知識を深め、適切な機材を選ぶことで、海の美しさを空から捉えた素晴らしい映像を撮影することができるんですね。
技術の進歩とともに、これらの課題も少しずつ解決されつつありますが、海という予測不能な環境での撮影は常に挑戦的であり続けるでしょう。それだからこそ、成功した海上ドローン空撮には大きな価値があるのです。
お知らせ
2025.05.05
海上におけるドローン空撮の難しさ

書類を開く